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オープンデータ活用術・完全版【第8章】①消されたサイトの情報を復活させる

D-JEDI理事:熊田安伸

今回から第8章「サイトの情報を調べる」です。まずは消されてしまったウェブ上の情報を探し出す方法をご紹介します。


第1章で述べたように、入札のことを告知する「入札公告」や、結果を示した「入札(経過)調書」は、官庁や自治体のホームページに掲載されますが、これが削除されてしまった、というケースがありました。

沖縄タイムスは、2016(平成28)年5月に辺野古沖の米軍新基地建設に関連して、沖縄防衛局の発注をめぐる「辺野古警備 入札を厳格化して事実上1社だけ指名 防衛局」という記事を出しました。

この警備業務発注の入札資料は、沖縄防衛局のホームページにあったのですが、東京新聞がその後、2019年4月に1面トップで報じたところによると、ホームページから削除されてしまっていたといいます。

2019年4月7日の東京新聞より

こんなときは、どうしたらいいのでしょう。消された情報は二度と閲覧できないのでしょうか。

「WARP」を使う

諦めるのは早いですよ、強い味方があります。それが「WARP」、国立国会図書館が行っているウェブアーカイブの事業です。この連載の「第6章②政治資金を調べるためのツール」でも紹介したサイトが使えます。

どういうもので、何のためにやっているのでしょうか。サイトの説明文から引用します。

消えて行くウェブサイトの情報に再びアクセスするためには、どうすればよいでしょうか? その解決法の一つが、ウェブサイトの情報が消えて無くなる前にそれらを集めて保存しておくことです。このようにウェブサイトを収集して保存することをウェブアーカイブ(Web Archive)と言います。
ウェブアーカイブは、世界各国の国立図書館や公的機関が中心となって行っており、日本では国立国会図書館が2002年よりインターネット資料収集保存事業(WARP)を実施しています。(中略)後の世代の人々が過去を振り返ろうとした時、ウェブサイトの情報が残されていなければ、歴史の一部が大きく欠けることになるでしょう。そのようなことが無いよう、ウェブサイトにある情報をしっかりと保存して後の世代に伝えて行く必要があります。

素晴らしい取り組みですよね。「図書館」という存在が、デジタル化に適応してその姿を変えつつあることが分かります。私も何度もこの取り組みに助けられました。では、実際に上記の沖縄防衛局の例で、使ってみましょう。

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