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オープンデータ活用術・完全版【第2章】②社団法人・財団法人を調べる(下)

文:D-JEDI理事 熊田安伸

今回も、社団法人・財団法人の調べ方の続きです。情報がまとめて取得できるサイトや不正を指摘する文書の紹介、そして「どういう状態なら問題だといえるのか」という基準について解説します。

「公益法人Information」を使う

公益の社団法人、財団法人についての情報を内閣府が公開しているのが「公益法人Information」です。冒頭に挙げたような公益法人の基本的な資料はこちらで入手することができます。

公益法人Informationのサイトより

サイトマップの一番下に、「事業報告等の閲覧請求」という項目があるのでそこから法人の情報を得ることができます。

「定款」をはじめ「事業計画書」「社員名簿」、そして各種の財務諸表など
13種類の資料をPDFでダウンロードできます。ただし、請求者の氏名やメールアドレスも入力しなければなりません。公開が義務付けられている情報なのに、なぜこちらの情報を提示する必要があるのか疑問ですね。

とはいえ、仕方ないので入力して使ってみます。2021年10月に「10年近くにわたり、特定の事業者に対し、特別の利益を供与してきた」ことが問題だとして内閣府から「再勧告」を受けていた公益財団法人・国際人材育成機構の資料を入手してみましょう。法人名を入れて「請求資料を閲覧」というボタンを押すと、どういう種類の資料が欲しいのか、選択窓が出てきます。選択すると、このように資料がpdfファイルでダウンロードできるようになります。

この中から、例えば「収支予算書」を選んでダウンロードしてみました。このように読むことができます。氏名やメールアドレスを入力するのは不満ですが、確かに資料入手には便利ではあります。

このサイトにはもう一つ注目点があります。法人に問題があって勧告を受けた場合、報告書や法人の認証取り消しなどの情報も掲載されるのです。トップ画面の「内閣府からのお知らせ」の欄に、日付順に掲載されています。

例えば、コーチによるパワハラが世間を騒がせた公益財団法人日本レスリング協会のケースで調べてみましょう。こんな報告書がダウンロードできました。

中身を覗いてみると、「長年にわたって眼を掛けてきた弟子が離れていったことに対する師の逆恨みにも似た狭量な心情の発露」って、かなり生々しいことが書いてありますね。

これまでの回にもあった通り、「報告書」というものは宝の山なのです。そして、これは法人側が提出するものばかりではありません。所轄庁の側が制作する「報告書」にも、極めて取材の役立つものがあります。

ここから先は会員限定です。どういう状態であれば、その法人のやっていることが「アウト」と言えるのか、基準となる指標などを解説します。

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