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オープンデータ活用術・完全版【第4章】①今さら聞けない不動産登記簿のイロハ

D-JEDI理事:熊田安伸

今回から第4章、「不動産を調べる」です。土地や建物の情報を調べるとなったら、まず思い浮かべるのが「登記簿」を取ることですよね。ではまず、今更聞けない登記簿のイロハから参りましょう。


土地や建物を調べる基本ツール「登記簿」

多くの方がご存じの通り、登記簿は不動産の基本情報や権利関係を記した書類で、それぞれの最寄りの法務局で入手できます。読み方の解説本なども多数ありますし、入手は有料なので「オープンデータ」というこの連載の趣旨からはちょっと外れるかもしれません。とはいえ、基本中の基本なので、最低限、知っておくべきことは紹介しておきます。

なお、登記には法人の登記や船舶の登記もあります。船舶の登記については第6章「乗り物や事故を調べる」で紹介したいと思います。

「登記情報提供サービス」を使う

「登記情報提供サービス」は、一般財団法人民事法務協会が運営しているサイトです。この協会は、法務局から紙だった登記簿をデジタル化する業務の委託を受けていて、ネットで登記簿を取得できるサイトも担っているようです。

登記情報提供サービスのサイトより

こちらができるまでは、とにかく法務局に行かなければならなかったので、便利になりました。ただし、難点もあって夜中の時間帯には使えないのです。登記簿の入手は、もちろん有料です。

「登記簿図書館」を使う

朝刊で抜かれ、朝一番で調べたいとき、夜中でもじっくり調べたいときには「登記簿図書館」が便利です。こちらは365日、24時間利用できます。民間業者が運営していて、前記の登記情報提供サービスや、法務局より安く入手できることを売りにしています。誰かがこのサービスを利用して登記簿を入手すると、サーバーにその情報が蓄積されます。欲しい登記簿がすでに保有されていれば、さらに安く入手できる仕組みです。

登記簿図書館のサイトより

登記情報提供サービスがPDFファイルなのに対し、こちらはCSVファイルでも入手できるので、分析に使いやすいという利点もあります。

そして何といってもここが素晴らしいのは、「名寄せ機能」があることです。例えば、私の名前、「熊田安伸」で検索すると、熊田安伸が登場する土地や建物、会社の登記を取ることができるのです。これは便利。名寄せで調べるためだけに、このサイトを利用している記者もいます。持ち家を持っている人なら、「ヤサ割り(住所を探し当てること)」にも使えますね。

登記取得の際の注意点

例えば、スローニュースの会社がある「東京都渋谷区神宮前6丁目25番16号」という住所では、土地の登記簿は取れません。いわゆる住所と呼ばれているものは、「住居表示」といいます。

一方で登記に使われているのは「地番」で、これは「住居表示」とは違うナンバリングになっているのです(一部自治体で一致しているところもあります)。これを取り違えると、全く別の登記を取ってしまい、誤報につながりかねません。

そもそも目的が違い、「地番」は課税や権利関係を明らかにするために付けられる番号、「住居表示」は建物が対象で、そこにたどり着きやすいように付けられたものです。登記を取るには、あらかじめ「地番」の方を調べておく必要があります。

法務局にはゼンリンの『ブルーマップ』や、刊広社の『デジタルメーサイズ』という地図が備えられているので、それらで地番を確認することができます。

ゼンリン『ブルーマップ』サイトより

「地番」が青字、「住居表示」が黒字で示されているので、これで照合します。地番は法務局に行かなくても、前述の二つのサイト「登記情報提供サービス」と「登記簿図書館」でも調べることができます。

「公図」は地番に基づいてその土地の位置や形状を大まかに知ることができるもので、登記と同じように取得できます。土地を緻密に調べていく場合には、こちらも入手して調べることをお勧めします。

また、建物の登記を取る場合には、地番ではなく「家屋番号」が必要です。これはブルーマップには載っていません。法務局の窓口に行って、係員の方に「この地番の上の建物の登記を取りたいのですが」とお願いすればやってもらえますが、窓口に行けない場合はやはり前述の二つのサイトで調べることができます。

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