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オープンデータ活用術・完全版【第1章】⑥補助金を調べる(前編)

文:D-JEDI理事 熊田安伸

今回は、国や自治体が出す補助金を調べるためのオープンデータを紹介します。以前は紙の資料しかなく、調べるのが困難でしたが、最近、急速にオープンデータ化し始めて便利になっています。

「主要な施策の成果」を使う

まずは地方自治体の補助金について。「④地方自治体を調べる」でも取り上げた「主要な施策の成果報告書(名称が自治体によって微妙に違います)」がここでも使えます。この中には補助金事業についての報告も含まれていて、どういった事業に幾ら交付しているのかが分かるのです。

こちらは検索でたまたまトップに出てきた福島県の会津若松市の報告書です。

このように、観光振興事業の補助金として、一般財団法人に3392万円余りを交付していることが分かります。ただ、自治体や事業によって記述の詳しさに差があり、支出先の個別の名称や金額が完全には公開されていないところもまだ多いのが実情です。

また、中には補助金事業の結果がどうだったのかというフィードバックを掲載している自治体もあります。長崎県平戸市の報告書が分かりやすかったので見てみましょう。

「使い勝手が悪いという意見がある」「活動が脆弱化し、補助利用団体が少なくなっている」などの厳しい指摘も記載され、今後の方針として「改善・見直し」をすると記されていました。こういうものが見つかれば、取材に直結しますよね。

「主要な施策の成果報告書」はネットなどでオープンにされているものなので、地方自治体がどこにどのような補助金を出しているのかを手早く調べるのに有効なツールといえます。

「補助金調書」を使う

官庁や地方自治体の中には、「補助金調書」を作成しているところがあります。補助金が適正に使われているかをチェックするためのもので、誰に、あるいはどんな団体に、どういう理由で、幾らの補助金を支出していたのかが分かります。補助金の効果や今後の方針を含めて、補助金ごとにシートでまとめられています。ただ、フォーマットが決まっているわけではないので、自治体によって書き方や内容にはかなりの差があります。

岐阜県関市のサイトが分かりやすくまとめてあったので、そちらから見てみましょう。

岐阜県関市のホームページより

会員限定で公開する後半では、一つの自治体の補助金をチェックしていくだけでも、こんなにも様々な分野の情報が入手できるという実例を紹介しています。

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