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オープンデータ活用術・完全版【第3章】⑥製薬会社が医師に渡したカネを調べる

D-JEDI理事:熊田安伸

企業編、今回はちょっとニッチですが、製薬会社が医師にどんな名目でどのようなカネを支払っているか、調べられるサイトをご紹介します。

製薬会社が医師に提供したカネを調べるためのツール

製薬会社や医療機器メーカーは、医師や病院に研究の支援や講演料、コンサルティングの対価などさまざまな名目でカネを支払っています。

企業自身が公表した情報を基にデータベースをつくり、その実態を報じたのがアメリカの調査報道NPOプロパブリカの「Dollars for Docs」という取り組みです。製薬会社と医師の利益相反を明らかにした優れた報道です。

また、ドイツの非営利ニュース組織、コレクティブも、シュピーゲル誌と共同で同様のデータベースを公開していましたが、現在は閉鎖されているようです。

こうした報道を日本でも実現しようと取り組んでいたのが、現在、非営利の探査報道組織「Tansa」を運営する渡辺周さんです。

渡辺さんは、2015年に朝日新聞が、「医師に謝礼、1000万円超184人 製薬会社、講演料など 13年度分、朝日新聞集計」という記事を1面で発信した際、一連の取材をリードしました。現在は、Tansaに場所を移して報道しています。

朝日新聞時代から、日本の製薬会社と医師との間のカネの動きをまとめたデータベースを発信すべきだと主張していた彼は、医療ガバナンス研究所とともに「マネーデータベース『製薬会社と医師』」を公開しました。

現在は、医療ガバナンス研究所が運営を担い、「製薬マネーデータベース『YEN FOR DOCS』」となっています。

サイトの説明を引用すると、「データは製薬会社が自らのホームページで公開している情報です。個別に公開されている膨大なデータを整理・集計することで、製薬業界から医療業界への資金提供の全体像を透明化しました」とのこと。

ではこのデータベースで、実際にどんなふうに調べられるのか、実例を見てみましょう。

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