オープンデータ活用術・完全版【第2章】④社会福祉法人、独立行政法人、国立大学などを調べる
D-JEDI理事:熊田安伸
公益的な法人を調べる方法について解説してきた第2章、今回が最終回です。残る社会福祉法人、独立行政法人、国立病院、国立大学について使えるツールを紹介します。(宗教法人は研究中で、いつかやりたいと考えております。長い目で見てください)
社会福祉法人を「WAM NET」で調べる
社会福祉法人は、介護老人保健施設や老人ホームの経営、障害者支援施設の入所サービスや在宅のデイサービスなど、さまざまな社会福祉を目的とする事業を行う法人で、法人が所在する都道府県や市の首長の認可を受けて設立されます。
2016年の社会福祉法改正で事業運営の透明性を図る社会福祉法人制度改革が実施され、「現況報告書」「計算書類(財務諸表)」を法人のホームページで公開することが義務付けられました。ホームページが存在しない場合は、所轄庁のホームページで公表されます。
しかし今では、独立行政法人の福祉医療機構が運営する「WAM NET」というサイトに「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」ができました。こちらで現況報告書も計算書類も入手することができます。熊本市など、自治体によっては、WAM NETにすべてを委ねて、自前のホームページでの公表をやめたところも出てきています。
例えば、2023年1月に約5億7千万円を着服した業務上横領容疑で元理事長が警視庁に逮捕された社会福祉法人「サンフェニックス」の資料を入手してみましょう。検索窓に法人の名前を入力して検索すると、このような情報が表示されます。
このページの下の方に、現況報告書や計算書類などの資料をダウンロードできるボタンがあり、pdfで入手することができます。収支計算書を見ると、支出が収入を4億6千万円余りも上回っている状態であったことなどが分かります。
社会福祉法人の運営が不適切な場合は、社会福祉法に基づいて「改善措置命令」や「業務停止命令」「役員解職勧告」「解散命令」が所轄庁から出される場合があります。これらもそれぞれの所轄庁でチェックするといいかもしれません。