オープンデータ活用術・完全版【第1章】⑦補助金を調べる(後編)
文:D-JEDI理事 熊田安伸
「実績報告書」を使う
補助金調書は、補助金を交付した行政側がまとめたものですが、補助金を受け取る側が作成し、提出しなければならないのが「実績報告書」です。
「実績報告書」は、当初の申請通りに補助対象となる事業が行われたかどうかを報告するものです。中身は、補助事業名・事業期間・事業の概要・具体的な取り組みについての報告書や、支出の内訳書・経費支出管理表などで、支出を証明する書類も添付されます。
最近では例えば、新型コロナウイルスに対応するため、小規模事業者に交付される持続化補助金の実績報告書を提出する事業者が数多くいるかと思います。こちらが記載例となっています。
この実績報告書がホームページでそのまま公表されることはなく、情報公開請求で入手する必要があります。過去には、NHKが東日本大震災の復興事業で、補助金が交付された会社が提出した実績報告書と添付された資料を情報公開請求で入手し、不正な支出が行われたことを報道しました。
事業者側が提出する報告書なので、不正があってもそんなことは書かれていないだろうと思うかもしれませんが、国税の調査官が語るごとく「カネは必ず足跡を残す」です。よくよく分析すれば、問題点を見つけることができます。
この実績報告書と同様に、補助金の申請から交付までにはさまざまな文書がやりとりされます。特定の補助金について徹底的に調べたいときには、入手し分析してみてもいいかもしれません。
国の補助金を調べるサイト、まとめました
国の官公庁については「予算執行等に係る情報の公表等に関する指針」(平成25年6月28日内閣官房行政改革推進本部事務局)のおかげで、どういう事業でどういう団体に幾らを交付したかについて、ネットで公表されるようになりました。一覧になっているデータをエクセルファイルでダウンロードできます。地方自治体より格段に進んでますよね。