iPhoneが可能にした低コスト・高品質な映像 手元にある機材で可能な動画教えます
進化を続けるiPhoneで動画を制作する方法を学ぶ勉強会を開催します!
取材現場では映像を求められる事例が増えています。自分のスマホで驚くような品質の動画を撮影するにはどうしたら良いか。講師はiPhoneographerとして人気の山﨑拓実さんです。
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講義を前に、山﨑さんにスマホでの動画撮影の魅力について聞きました。
(山﨑さんがiPhone 12 Miniと13 Proで制作した映像。15 Pro Maxはさらに綺麗になっているという)
聞き手:金川雄策
山﨑さんインタビュー iPhone撮影を始めた理由
バイトをクビになって始めたiPhone撮影
ーーiPhoneで撮影し始めたきっかけはなんでしょう?
山﨑 学生時代から映画が好きで映画館でバイトしていました。大学4年生のとき、コロナで緊急事態宣言が出て映画館のバイトもクビになりました。
それまでは8mmフィルムで撮影してました。フィルム1本で2分半撮影、4本分で10分間の映像を現像・デジタル化するのに約3万円。3つのバイトを掛け持ちしてやりくりしてましたが、コロナでバイトもできなくなり、金欠に陥ったときに手元にあるiPhoneで撮影を極めようと思ったんです。
山﨑さんが8mmフィルムで撮影したMV
ーー当時iPhoneで撮影したのはどんな撮影ですか?参考にした映像などはあったのでしょうか?
山﨑 私が憧れるハリウッド映画のクリエイターたち、例えば、「JOKER」のローレンス・シャー撮影監督や、ジョン・ウィックのデヴィッド・リーチ共同監督も、当時iPhoneにBeastgrip Proというリグをつけて撮影してました。彼らを参考に撮影を始めました。
このBeastgrip Proというリグは「マン・オブ・スティール」のザック・スナイダー監督や、「オーシャンズ11」のスティーブン・ソダーバーグ監督、「エイリアン」のリドリー・スコット監督なども使用しています。
ローレンス・シャーのBeastgrip Pro使用時の参考記事
山﨑さんの作品例
(コロナ禍で監督・撮影・編集したMV。iPhone SE2にMomentのアナモルフィックレンズとNDフィルターを装着)
(初期iPhone作品「花は枯れて」。iPhone 12 miniにMonentのケース、クリップ式のNDフィルターアダプターとNDフィルターをつけて撮影)
iPhone撮影 「こんなに楽なのか」
ーーiPhoneの良さはどんな点だったのでしょうか?
山﨑 iPhoneで撮影を始めた当初は、細かな設定が出来るサードパーティーアプリのFiLMiC Proを使用していました。当たり前なのですがフィルムと比べてこんなに楽なのかと思いました。
カメラ操作の基礎はフィルムでもデジタルでも変わりませんが、8mmフィルムは撮った画がその場で確認出来なかったり、やり直しが効きません。露出も露出計を使わなければならなかったり、正直不便です。
一方、iPhoneというかデジタルカメラ全般は画面上で全て調整出来るので簡単です。特にiPhoneは他のシネマカメラなどと違ってアクションカムのような使い方も出来ます。筐体が小さく機動性に優れ、少しくらいの水や汚れは大丈夫です。機動性、耐久性、カメラ自体の性能がiPhoneを選んだ理由でもあります。
ーー大学卒業後は、どのような進路に進んだのでしょうか?
山﨑 大学は国際日本学科で、英語を使ってリベラルアーツを学んできて、映像の専門的な勉強をしてきたわけではなかったのですが、卒業後は、映像の道に進みたいと決めていました。
当時、コロナの影響で就職難の中で、ご縁をいただいて入社したのがマクドナルドなどのCMなどを作っている大手映像制作会社でした。映像を専門的に学んだ経験がなかったので、プロダクションマネジャー(PM)として入社し、しばらく経ったら、ディレクターに社内転職しようと考えていました。
PM人材が足らないから社内転職は無理だと言われましたが、自分で映像を作る道が諦めきれませんでした。Business Insider Japan(BI)やGizmodoを運営するメディアジーンが業務委託でビデオグラファーを募集していることを知り、応募して現在は正社員として働いています。
BIで再開したiPhone撮影
ーー再びiPhoneで撮影を始めたきっかけは?
山﨑 BIでiPhone撮影していた経験を話していると、記者から「コスト面と機動性の面を考慮してiPhoneを業務に使ってみては」と提案され、そこからiPhone撮影を再開しました。
snowpeak本社を取材したときに、その雰囲気を伝えるビデオを作ったり、日産の電気自動車サクラの試乗ビデオを作ったりしました。
サクラの撮影ではiPhoneの超広角レンズを使用しました。狭い車内でもレンズ交換は必要なくiPhoneの機動性が発揮されました。
iPhoneographerとして脚光を浴びる
ーーiPhoneで個人的にクライアントワークもしていると聞きました。
山﨑 Gizmodoの編集者から、新型iPhone15が発売されるときに、記事を書かないかと提案されました。これまで活用してきた事例などをベースに書いた記事がこれです。
これがメディアやクライアントの目に止まり、講演依頼や兼業としてiPhoneで動画制作するクライアントワークの依頼が舞い込み始めました。今は通販大手の依頼で、縦型動画を作ったりしています。
クライアントからは「オーバースペックの機材を使って、必要以上にプロダクションコストが増えてしまう撮影が多い中、iPhoneでの撮影では、コストを抑えられる上に、十分なクオリティが得られる」と好評です。
クライアントワークを受ける際は、必ず事前にどの程度のクオリティになるかを先方に確認していただいてから受けるようにしています。
D-JEDI勉強会は7月23日 申し込みはこちら
23日の勉強会では、山崎さんが普段使っているiPhoneの付属アイテムのセットアップや、iPhone映像の制作フローをお伝えしていただく予定です。
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