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オープンデータ活用術・完全版【第1章】②官報は凄いツール

文:D-JEDI理事 熊田安伸

今回も国や自治体の事業を調べるためのツールを紹介します。中でも注目は「官報」。膨大な情報が毎日公開されているので、使いこなせば様々なことに利用できますよ。(サムネイル画像の背景は官報情報検索サービスのトップ画面より)

「官報」は使えるツールです

「官報」は、法令など政府情報を国民に広く伝えるため、内閣府が行政機関の休日を除き毎日発行しているものです。法令だけでなく、政府関係機関の入札公告や地方公共団体の公告なども載るので、これを使って調べることができます。

実は官報は、他にも個人に関する情報など、さまざまな情報を調べる万能ツール。それは後の章で解説するとして、まずは基本的な利用法と入札関連の調べ方について説明します。

国の事業については、建設工事なら工事名・場所・概要・工期・使用機材などがすぐに分かりますし、物品の調達なら調達品目・数量・仕様・納期が一目瞭然。そして共通して、入札や契約の方法・落札者・落札金額・予定価格なども分かりやすく表示されます。

「官報情報検索サービス」の申し込みは

「官報」は紙で発行されるものですが、「官報情報検索サービス」という独立行政法人国立印刷局が運営するサイトで内容を検索して調べることができます。月2200円(税込み)の有料サービスですが、それを補って余りあるほどの情報を得ることができるので、お勧めします。

官報情報検索サービスのサイトより

ただ、利用を申し込もうとすると、このサイトにはちょっとした「罠」があります。「お申込み方法」の手順に従うと、「利用申込書に必要事項を記入し、全国48か所にある最寄りの官報販売所にお申込みください」と、極めてアナログなことが書いてあります。つまりネット申し込みは不可、東京都ならば千代田区神田錦町にある東京都官報販売所に申込書を持って行きなさいと。ところが、当の東京都官報販売所のサイトを見ると、ネットで申し込みができるのですよ。全くの謎仕様ですね。

東京都官報販売所のサイトにある申請フォームのページより

ただ、必ずしも有料の利用申し込みをしなければ使えないわけではありません。国立国会図書館をはじめ、幾つかの公立図書館では、館内でこの官報検索を使えるサービスを行っています。そちらに出向けば、利用料の負担なしで使うことができます。

実際に官報検索で調べてみる

では具体的に官報情報検索でどんな情報が取れるのか、見ていきましょう。河野太郎さんが防衛大臣を退任するときの挨拶で、「人材が生き生きと活躍できる環境の方が大事だ。いつだったか、『トイレットペーパーと、F35戦闘機のどちらを買うか迷ったらトイレットペーパーを取る』と言ったことがあるが、今でもその気持ちは変わらない」と発言していました。

なるほど。では、自衛隊がトイレットペーパーをどう調達しているかを官報を使って調べてみましょう。実はそんなことまで分かってしまうのです。

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