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オープンデータ活用術・完全版【第5章】①個人の情報はどう調べるか

D-JEDI理事:熊田安伸

「個人についての情報」は入手が難しいですよね。企業人であれば、ここまで紹介したテクニックで一定の情報は入手できます。本章ではそれ以外の、オープンデータで入手できるさまざまな個人についての情報を紹介します。まずは何度も紹介している「官報」ですが、個人についてもやはり情報の宝庫なのです(基本的な使い方は第1章を参照のこと)

「旅券の返納命令」を官報で調べる

犯罪者に国外逃亡の恐れがあるとき、国は旅券(パスポート)を返納するよう命令します。その際、官報にもそのことが掲載されます。官報情報検索サービスで「旅券」「返納命令」と入力すると出てきます。

返納命令には、氏名や生年月日、住所、旅券番号などが書かれているほか、どのような理由で命令を出すのか、犯罪であれば容疑の名称や逮捕状がいつ出されたかなども記載されます。共犯者がいれば、その人物たちの情報も一覧で見ることができます。

最近、話題になったケースでいうと、ガーシー元参議院議員がいましたよね。彼に旅券返納命令が出た際には、こんな形で公表されました。

官報より

「東谷義和」がガーシー元議員の本名です。生年月日などのほか、「暴力行為等処罰に関する法律違反、名誉棄損、威力業務妨害秘技事件の被疑者として逮捕状」とあって、逮捕容疑もわかります。住所は以前はマンションなら部屋番号まで詳しく出ていましたが、最近は県名までしか出なくなりました。

ガーシー元議員の場合は、逮捕状が出たことの方が先に報じられましたが、逮捕状が出たかどうかわからない人物の場合、この旅券返納命令が役に立つことがあります。

以前行ったオープンデータ講座でこのことを解説したところ、日本経済新聞の司法キャップが実際に試してみたそうです。JAXA理事だった文部科学省元幹部の汚職事件で、毎朝、官報をチェックしていたところ、贈賄に関わった疑いが持たれている元会社役員への旅券返納命令が出された=逮捕状が出ていたことに気付き、スクープにつながったとのことでした。

国会議員の本名を知る

ガーシー元議員のことを調べていた際に気づいた、ちょっとしたテクニックがあるのでご披露します。

国会議員は、議員氏名を議長に申請して許可されると、その名前を使用することができるようになります。これも、官報に掲載されるので、検索すると知ることができます。

官報より

水道橋博士の本名は「小野正芳」などと知ることができますね。

「自己破産」を官報で調べる

自己破産をすると、官報にその人の情報が掲載されます。なぜかというと、破産者が借金の返済を免除された場合、回収できなくなる貸金業者などが出てくるからです。関係者が影響や損害を最小限に抑えるため対処できるよう、広く知らせているわけです。

2022年の参議院選挙の期間中に応援演説をしていた安倍元首相が撃たれて死亡した事件で、容疑者は「母親が統一教会への多額の献金をして破産し、恨んでいた。トップを狙おうとしたが難しく、安倍元首相が統一教会と近いので殺そうと思った」と供述したということです。では、実際に母親が破産していたかどうか……

ここから先は会員限定です。山上容疑者の母親の破産をどう調べるのか。またほかにも様々な「個人に関する情報」を入手する方法をご紹介します。

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