AIでここまでできた! 情報収集から執筆まで【ライター/編集者向けAI活用講座1】
文:古田大輔
ライター/編集者が実務で使えるAI講座が始まりました。今後は毎月第2水曜日午後8時から、D-JEDIのYouTubeアカウントで30分間のライブ配信です。初回の10月11日は取材前の情報収集から取材、記事の執筆まで実際に編集部の流れに沿ったAI活用法を紹介しました。
次回は11月8日午後8時から。「Notionでここまでできる」がテーマです。申込みはこちらのリンクか記事の下部からどうぞ。
実際にAIを使いながら解説
当日のアーカイブ映像はこちら。実務にすぐに役立つように、実際に使い方を見せながらの解説でした(初回だけ無料公開です。次回以降はアーカイブはD−JEDI有料会員かその回に有料で申し込んだ方のみ)。
メディア経験に基づく編集実務に即したAI活用
講師は、AIの受託・研究開発、法人向けAI研修などに取り組む株式会社LifePrompt取締役の臼井拓水さん。X(Twitter)でもAI活用事例を発信しています(@usutaku_com)。
臼井さんは、学生時代にBusiness でインターンをしていた経験を活かし、編集実務に即した形で、取材の前に情報収集、必須となっている外国語情報の翻訳、インタビューの文字起こし、サムネイルの製作にどのようにAIを活用するか、順を追って説明しました。
以下は講座の内容です。詳しく知りたい人は、ぜひアーカイブを。
取材する業界を理解する:ChatGPT
取材をしようと思ったら、まずは下調べ。10年前なら、その業界について特集した本や雑誌を読んで、そこからリサーチを広げていくという手法もありました。でも、変化が早いデジタル時代には、最新の情報が過不足なくまとまった本や雑誌なんて、そうそう見つかりません。
そこで役に立つのが生成AIです。ChatGPTに聞いてみましょう(ここでは有料版のGPT4.0を使っています)。
半導体業界について調べたいと思ったら、以下のように質問(プロンプト)を書いてみましょう。
「プロのリサーチャーのように」「中学生でもわかりやすいように」「どのようなプレイヤーがどんなことをしているかを中心に教えて」「関係図を図式化して」など、指示を明確にすることがポイントです。
回答は以下のようになりました(毎回、同じ答えになるとは限りません)。
半導体メーカー、設計会社、装置メーカー、素材メーカーの関係がわかります。「各プレイヤーの関係を示せ」という指示が効いています。単純に「半導体業界について教えてください」と聞くと、回答はこうです。
注意しないといけないのは、AIの回答は正確性が担保されているわけではないということです。プロのライター/編集者であれば、必ずこの内容が正確かを検証しなければいけません。あくまで下調べのためのものです。
最後に関係図。これはChatGPTの有料課金ユーザーが使えるプラグインという機能を使っています。
GPT-4→Pluginsにチェックを入れて→プラグインのところに出てきた「∨」をクリック→下までスクロールしてPlugin Store→「Diagrams: Show Me」を検索で探してインストール(詳細はアーカイブ動画に)
使いたいプラグインにチェックを入れて図式化の指示を出せば、関係図もすぐに作ってくれます。ただし、ここでも正確性は担保されていません。
参考にするニュース記事の要約:NotionAI
ここでは、上記の下調べで出てきたNVIDIAのCEOにインタビューすると仮定します(実際はなかなか難しいですが)。
業界の全体像を掴みたいというときと異なり、調べたいことが具体的な場合は検索した方が早いので「NVIDIA CEO」で検索。「Jensen Huang」と出てくるので、さらにこれまでのインタビュー記事などを探します。
これらのインタビュー記事をGoogle Chrome拡張機能「Save to Notion」でNotionに保存していきます(これらの細かい説明は次回以降に)。
そうすると記事タイトル、リンク、記事本文がそろったデータベースをNotionに簡単に作ることができます。
しかし、英文記事が多いと読むのに時間がかかる。そういうときにAIを使えば、翻訳も要約も一瞬でできます。
Notion AIに「日本語で、箇条書きで、要約して要点だけ教えてください」と指示を出します。すると以下のようになります。
AIによる要約や翻訳は、以前よりも格段に性能が上がっていますが正確性は担保されないので、最後は自分で確認することが必要です。それでも、下調べでざっと内容をつかむためにかかる時間は、驚くほど短くなります。
英文のビジネスメールを書く:ChatGPT
では次にインタビューを申し込むために英文メールを書きましょう。日本語でメールを書いて、DeepLやGoogle翻訳で英訳している人も多いでしょう。
この手法でも翻訳精度は上がっています。しかし、ビジネスメールには特徴的な書き方があり、日本語をそのまま英訳しても違和感のある文章になりがちです。
そこで、ChatGPTに次のような指示を出してみましょう。
以下のような文章が出来上がりました。
「I hope this message finds you well.」「Thank you for considering my request. I look forward to the possibility of collaborating with you.」など、英語特有の表現が加わり、日本語からの直訳よりもビジネスメールとして丁寧な文章になっています。
インタビューの文字起こし:Zoom、Notta
インタビューに成功したとします。かつては文字起こしに大変な時間がかかっていましたが、いまはZoomやNottaなどのツールを使えば、簡単にかなり正確な文字起こしが可能になっています。
Zoomでインタビューしたのであれば、字幕機能をオンにしてレコーディングすると、字幕のテキストデータが保存されてダウンロードが可能です。
対面で録音した場合は、音声をNottaというツールにアップすることで文字起こしが可能です。
他にも文字起こしツールは多数あり、Google Pixelはスマートフォン自体にリアルタイムの文字起こし機能がついています。
さらに文字起こししたデータをさきほど紹介したNotionに送り、Notion AIで「文章を校閲してください」と指示を出せば、文字起こしした文章にありがちな漢字の変換ミスやおかしな句点・読点、固有名詞の言い間違いなどをある程度修正してくれます。
より専門的な校閲をする:ChatGPT
誤字の修正レベルではなく、より専門的な校閲をAIに頼むこともできます。
例えば、ChatGPTに次のように依頼してみましょう。
すると、以下のように修正点の解説も加えて校閲してくれました。
ただし、これらの修正も正確性が担保されていないということに注意する必要があります。差別的な表現などは時代によっても変化してくるため、AIの指摘はあくまで参考だと考えるべきでしょう。
サムネイルを作る:Canva
サムネイルに使いたい画像があるけれども、指定されているサムネイルのサイズと合わない、というのはよくあることです。
そういうときにCanvaというツールのMagic Expand機能を使えば、簡単に自動修正してくれます。
ただ、AIでここまで補正してしまうと、報道などでそのまま使うのは避けるべきでしょう。
まとめと次回の案内
今回は初回だったので、編集の流れにそってAIやデジタルツールをどのように活用できるか駆け足で紹介しました。次回以降はそれぞれのツールについて深掘りしたり、みなさんの要望にそって深く・広く解説していきます。
次回は11月8日午後8時、初回で触れたNotionについて詳しく解説していきます。申込みはPeatixから。
YouTubeでのライブ配信は無料で視聴可能ですが、アーカイブ動画は有料申し込み(1000円)が必要です。今回のような記事全文はD−JEDI有料会員のみとさせていただきます。
それでは、次回以降もよろしくお願いいたします!