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オープンデータ活用術・完全版【第3章】⑧情報源の作り方(後編)

D-JEDI理事:熊田安伸

企業の問題を明らかにする取材などの場合、いくらオープンデータを入手したとしても、最後はやはり当事者に当たらなければなりません。前回に続いて、取材の「ラストワンマイル」を埋める方法、情報源の作り方を紹介します。


ステップ⑤ 真実性の確認

不平、不満のある社員から手に入れた「不正の証拠」が使えるかというと、そのままでは危険です。恨みを抱いた提供者の資料の解釈が間違っている可能性があるかもしれませんし、場合によっては歪んだ考えを抱いて捏造してしまうことだってあり得ます。

そこで必要になってくるのが、もう1種類の情報源、本社の幹部です。

幹部クラスが会ってくれるのかというと、ここまで述べたように派閥を把握し、対立派閥の問題を明らかにしたいという点が共通していれば、会ってくれる確率は高いと思います。

幹部自身が情報をくれることもありますが、それ以上に大切なのは、他の社員から手に入れた「証拠」が本物かどうかを判定してもらう役割です。必ず、情報を確認できる立場にある幹部と接点を持つことが重要です。幹部も、資料を出すことは渋っても、確認するのはやぶさかではないという人は多いですから。

ステップ⑥ 証言の入手

確たる証拠を得ることができたら、次は「証言」の入手です。従来はテレビだけの専売特許でしたが、最近の『週刊文春』のスクープでもそうであるように、真実性を高めるため、今はどのメディアでも「音声」「動画」の重要性は増してきています。

可能であれば実名・顔出しで、難しければ匿名でのインタビューを撮影します。この際、最も重要なのはOKが取れたらできるだけ速やかに撮影することです。交渉をする際には前もってどこで撮影するのかを決めておく必要があり、ダメ元でカメラマンにスタンバイしておいてもらう必要があります。なぜなら、「よし、分かった」と力強く返事をしてくれた人でも、一晩たって「やっぱり考えが変わった」というケースが実に多いからです。

「今は準備ができていないから」と言われたら、何が必要なのかをすぐに聞き取ってこちらで用意しましょう。以前、外務省の中堅職員に省内での公金流用に関する重大なインタビューを撮らせてもらえることになった際、「きょうのスーツはよく着ているものだから、顔を出さず声を変えて撮影してもバレてしまう」と言われました。しかし「では明日で」というわけにはいきません。その場で自分のスーツを脱ぎ、「これを着てもらえませんか」と懇願し、何とか撮影することができました。

安倍元総理の銃撃事件が発生した3日後に、チューリップテレビがいち早く元信者の女性を取材して「借金をしてまで献金していた」と証言するインタビューを撮影しました。実はこの際にも、女性の身元がバレないよう、女性記者が自分の来ていたブラウスをその場で脱いで女性に着せ、自分はロケカーにあった雨具を着てマイクを向けたということです。

ステップ⑦ 当て時の確認

一方、幹部の情報源には、社内の状況を探っておいてもらいます。自分たちが取材していることが気付かれていないか、何らかの対策を打とうとしていないかなどです。その上で、会社側に取材結果を当てるタイミングを探ります。

例えば……

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