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オープンデータ活用術・完全版【第4章】②不動産の価格を調べるためのツール

D-JEDI理事:熊田安伸

今回も「不動産を調べる」の続きです。不動産がいくらで売買されたかをオープンデータで調べるのは結構、難しいものです。とはいえ、調べることが可能ないくつかのケースやツールもあるので、それをまとめてご紹介します。

「不動産取引価格情報検索」を使う

不動産がいくらで取引されたか。前回紹介した「登記簿」では、抵当権の設定額などから推測するしかありません。公表されている「土地の価格」といえば、国土交通省の「地価公示」の公示価格、都道府県の「地価調査」の標準価格、国税庁の「路線価」がありますが、いずれも指標・算定基準でしかありません。

国土交通省が運営している「不動産取引価格情報検索」では実際にその地域で行われた不動産取引の価格を調べることができます。不動産業者に行ったアンケートの結果から、数字を丸めた上で、四半期ごとに公表しているということです。

国土交通省・土地総合情報システムのサイトより

ただし、どの不動産なのかは容易に特定できないよう加工されているので、ずばりこの土地や建物が幾らだった、ということまでは、すぐには分かりません。例えば、私が住んでいる地域での最近の売買だと、このようなデータが示されます。

近所でも坪単価がえらく違いますよね。そんな取引の比較や、価格の取引事例の参考などには使いやすいと思いますが、個別の土地を特定していくには、登記簿など他の資料と組み合わせて調べていくしかありません。

この資料から特定していくのはなかなか骨が折れます。不動産のリアルな価格を知るなら、地元の不動産屋さんを回って丹念に情報収集した方が早いくらいかもしれないので、ケースバイケースで使いましょう。

「ディールサーチ」で取引価格を知る

しかし世の中、カネを払えば情報を得ることはできます。「ディールサーチ」は、日経BP社が運営する「日本最大級の投資用不動産取引データベース」です。

約2万件のオリジナルの売買事例データが掲載されていて、REIT物件の運用データや開発プロジェクトの検索、ダウンロードも可能だとのこと。とはいえこちら、利用料がちょっとお高いです。不動産関係の業者向けであり、記者が利用するには敷居が高いかもしれません。NHKでも大きなプロジェクトの時、短期間だけ使っていた記者がいましたが、それぐらいしか使用事例は聞いていません。

ここから先は会員限定です。無料で確実な売買の情報を入手できるサイトをご紹介します。本連載のもとになった『記者のためのオープンデータ活用術』には載っていない新たなツールも複数紹介しています。

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